ベースアップ/ベア

【読み方:べーすあっぷ、分類:賃金】

ベースアップは、「ベア」とも呼ばれ、会社の賃金表を書き換えて、全ての社員(従業員)の賃金(給与)水準を引き上げることをいいます。これは、勤続年数や職能などに基づいて定めた賃金表を書き換えて給与水準を引き上げることであり、一方で本賃金表に基づいて、年毎に給与が自動的に増える仕組みについては「定期昇給(定昇)」といいます。

日本では、物価上昇(インフレ)などで相対的に下がった賃金(所得)の回復を図ることを目的に高度成長期にベースアップが根付きましたが、バブル崩壊後の1990年代半ば頃から不況・デフレ・業績不振などを理由に、経営側は人件費総額が増えるベースアップを拒むようになり、また労働組合側も要求そのものを見送る流れが続いてきました。その一方で、デフレ脱却と持続的な経済成長のカギとして、従業員の賃金底上げにつながる「ベースアップの実施」が不可欠と言われています。

通常、ベースアップを実施すると、給与全体(総人件費)が底上げされ、企業の負担が永続的に増えることになるため、従業員への収益還元(収入アップ)については、ベースアップではなく業績に応じて柔軟に増やせる「一時金方式(賞与増等)」を採用する企業が多いです。また、今日では、人件費負担を軽減するために、同じ企業内でも従業員の年齢・職種・転勤有無等によって、定昇などで賃金の引き上げに差をつける企業もあります。

なお、新聞やテレビなどでは、毎年春の労働組合側と経営側による大手企業の「労使交渉」が注目されますが、そこで決まった内容が全ての企業に波及する訳ではありません。あくまでベースアップは、企業毎に決められるものであり、一般に業績が不安定で経営基盤の弱い「多くの中小企業」については、ベースアップを中々実施できないのが現状となっています。