杯中の蛇影

【読み方:はいちゅうのだえい、分類:故事】

杯中の蛇影は、疑い惑う心が生じれば、つまらないこと(何でもないこと)でも神経を悩まし苦しむことの喩えをいいます。これは、杯(さかずき)の中を意味する「杯中」と蛇(へび)の影を意味する「蛇影」からなる用語で、中国の二十四史の一つである「晋書(楽広伝)」の故事に由来します。その昔、晋の楽広という人物の友人が酒を飲んでいた時、杯中に蛇の影があるのを見て、蛇を飲んだと思い込んで病気になったが、後にそれが弓の影であったと知り、病気がたちまち治ったというものです。

なお、本用語と似たようなものとして、「疑心暗鬼を生ず」「疑いは暗中の人影」「落ち武者は薄の穂にも恐ず」「幽霊の正体見たり枯れ尾花」などもあります。