阿漕(あこぎ)

【読み方:あこぎ、分類:概念】

あこぎは、漢字で「阿漕」とも表記され、貪欲で無情な様や強欲で悪どい様、繰り返す様やしつこい様などをいいます。これは、三重県津市の海岸辺りの地名「阿漕ヶ浦(あこぎがうら)」にまつわる伝説や歌に由来する用語で、その中でも平安時代の類題和歌集「古今和歌六帖」の歌が有名です。

その昔、阿漕ヶ浦は伊勢神宮に供える魚を獲るための禁漁域でしたが、一人の漁夫が繰り返し密漁を行い、ついには捕らえられて海に沈められ、ある日、その漁師の霊から旅僧が懺悔物語を聞くというものだそうです。当初は、度重なることの比喩として使われていたそうですが、近世以降になって今日の意味になったようです。

現在、本用語は、時代劇の悪役が言う決り文句の「あこぎな奴よのお」や、「あこぎな商売」という言葉にみられる(聞く)程度であまり使われなくなりましたが、言葉自体は知っている人は結構多いです。

<本用語の使用例>

・契約を勝ち取ってプロになるためなら、彼らはどんな阿漕な手も使うのだ
・従業員を酷使して使い捨てるといった、阿漕な会社で働いている人はまだ多い
・高卒としては出世頭になっていたのだが、どうしてこんな阿漕なことをやったのか