動線と導線の違い

動線・導線

建物の中を人や物が移動する際の軌跡(経路)を「どうせん」と呼びますが、「動線」と「導線」の二つの漢字が使われているのをご存知でしょうか? また、家庭においては、家の間取りなどで「生活動線」や「家事動線」といった言葉を聞いたことがある人もいるのではないでしょうか?

ここでは、意外と知っているようでいて知らない、「動線と導線の違い」について、簡単にまとめてみました。

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動線について

動線は、建築や都市において、人や物が移動する軌跡・方向などを示した線をいいます。これは、実際の方向や頻度、時間的変化などを表示し、建築設計や都市計画などの判断材料とするほか、居住性や利便性、機能性などを判定する指標としても使われます。

一般に動線は、元々は建築業界で使われていた用語ですが、昨今では、流通業界では、客や従業員が店内を歩く軌跡のことをいい、またウェブ業界では、サイトの訪問者が実際に閲覧したページの変遷をいいます。

導線について

導線は、日常的には、銅やアルミニウム、鉄などが用いられた、電流を通すための導体となる金属線(針金)をいいます。これは、数学においては、柱面や錐面に対してよく用いられる、ある曲線に沿って直線が移動することにより一つの曲面が生ずる時、その曲面に対する曲線のことをいいます。

一般に導線は、国語辞典では上記の説明となっていますが、それ以外に、百貨店業界やウェブ業界などでは、以下のような意味で、慣例的に使われています。

●百貨店業界の導線

店舗の中で消費者(客)が歩く道筋のことをいいます。これに関しては、店舗側が客を「導く」ことに重点を置いていることから、「客を導く線=導線」となったと言われており、すなわち、導線は、客を主体として「どう動かしたいか(どう導きたいか)」を表すものといえます。

ちなみに「導線」という用語は、その昔、松屋銀座が改装の目玉として「ひし型導線」を設けたことが、1978年11月の日経流通新聞の記事に出ており、この頃から使い始められたようです。

●ウェブ業界の導線

例えば、商用サイトにおいて、トップページ→キャンペーンページ→商品詳細→資料請求フォームなど、サイト内のページの誘導経路のことをいいます。また、対象となる導線を設計することを「導線設計」と言います。

動線と導線の違いについて

動線と導線は、本来、国語辞書の意味では全く違いますが、ある業界では、導線が辞書にない意味で使われ、二つの用語で意味の重なりが一部生じています。以下では、ビジネスの現場における、動線と導線の簡単な概要と違いをまとめてみました。

◎動線は、建築業界や物流業界では人や物が移動する軌跡・方向などを示した線をいい、流通業界では客や従業員が店内を歩く軌跡をいい、またウェブ業界ではサイトの訪問者が実際に閲覧したページの変遷をいう。

◎導線は、百貨店業界では店舗の中で客が歩く道筋や客を導く線をいい、またウェブ業界ではサイト内のページの誘導経路のことをいう。

◎ビジネスの現場において、動線は人以外にモノにも使われるが、導線は人にしか使われない。

◎コンビニ業界は、百貨店とは店舗構造が異なるため、動線が使われることが多いが、一方で導線の概念も使われることがある。

◎ウェブ業界では、動線と導線の二つの概念を分けて使っている。

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