臭いと匂いと香りと薫りと馨りの違い

におい・かおり

人の嗅覚に関する言葉には、「におい」と「かおり」があり、日々の生活の中で、心地良さを感じることもあれば、不快さを感じることもあります。また、これらを表現する漢字として、「におい」には「臭い」と「匂い」があり、また「かおり」には「香り」と「薫り」と「馨り」があり、それぞれで意味や用法が異なります。

ここでは、意外と知っているようでいて知らない、「臭い」と「匂い」と「香り」と「薫り」と「馨り」について、その意味や用法、違いを簡単にまとめてみました。

目次:コンテンツ構成

「臭い」の意味と用法

臭いは、「におい」と「くさい」の二つの読み方があり、それぞれで意味が異なります。

●臭い(におい)

臭い(におい)は、嗅覚を刺激する不快なくさみや、いかにもそのような感じのことをいいます。これは、前者の意味では、口臭や体臭、悪臭など好ましくないものに対して使われ、また後者の意味では、「犯罪の臭いがする」というように使われます。

●臭い(くさい)

臭い(くさい)は、嫌な(不快な)においがすることや、疑わしいようすであることなどをいいます。これは、「青臭い」や「汗臭い」、「陰気臭い」、「きな臭い」、「貧乏臭い」、「面倒臭い」など複合語でもよく使われます。

「匂い」の意味と用法

匂い(におい)は、そのものから漂ってきて嗅覚を刺激するものや、 いかにもそれらしい感じのことをいいます。これは、前者の意味では、花や香水、アロマ、ウナギなど心地良いものに対して使われ、また後者の意味では、「バブルの匂いがする」や「都会の匂いがする」というように使われます。

「臭い」と「匂い」の違い

「臭い」と「匂い」は、どちらも「におい」と読み、語源は同じで、空気中を漂ってきて嗅覚を刺激するものを意味しますが、通常、「臭い」が好ましくないものに対して使われるのに対して、「匂い」は好ましいものに対して使われます。

「香り」の意味と用法

香り(かおり)は、空気中を漂ってきて嗅覚を刺激するもので、特に好ましいもの(よいにおい)をいいます。これは、「黍(きび)」と「甘(あま/うま)」という二つの文字を組み合わせることで成り立っており、元々は、黍を茹でた時に生じるあまいかおりを現していると言われています。

例えば、「ラベンダーの香り」や「茶の香り」、「香りが良い」、「香りが楽しめる」というように使われます。

「薫り」の意味と用法

薫り(かおり)は、空気中を漂ってきて嗅覚を刺激するもので、特に好ましいもの(よいにおい)をいいます。これは、袋に入った香草を火であぶった形からできた象形文字に由来するそうで、元々は、香草をいぶし・くゆらせることで、香草の匂いが立ちこめている様を現していると言われています。また、本用語には、嗅覚以外に、比喩的な(抽象的な)かおり(趣)という意味もあります。

例えば、「カカオの薫り」や「芳ばしい薫り」、「文化の薫り」、「昭和の薫り」というように使われます。

「馨り」の意味と用法

馨り(かおり)は、空気中を漂ってきて嗅覚を刺激するもので、特に好ましいもの(よいにおい)をいいます。これは、「香り」や「薫り」に比べてあまり使われませんが、遠くまで届くような澄んだ良いにおいや、良い評判・良い影響といった意味があるそうです。

「香り」と「薫り」と「馨り」の違い

「香り」と「薫り」と「馨り」は、どれも空気中を漂ってきて嗅覚を刺激するもので、特に好ましいもの(よいにおい)をいい、日常的には、「香り」と「薫り」がよく使われるのに対して、馨りはあまり使われません。また、「薫り」は、嗅覚以外に、比喩的な(抽象的な)かおりという意味で使われることもあります。

「におい(臭い・匂い)」と「かおり(香り・薫り・馨り)」の違い

「におい(臭い・匂い)」と「かおり(香り・薫り・馨り)」は、どちらも嗅覚に関する表現ですが、「におい」が快・不快の両方の刺激に対して使われるのに対して、「かおり」は快い刺激に対して使われます。

●臭い(におい)

嗅覚を刺激する不快なくさみや、いかにもそのような感じ。

●匂い(におい)

そのものから漂ってきて嗅覚を刺激するものや、 いかにもそれらしい感じ。嗅覚に対しては、好ましいものに対して使われる。

●香り(かおり)

嗅覚を刺激するもので、特に好ましいもの(よいにおい)。

●薫り(かおり)

嗅覚を刺激するもので、特に好ましいもの(よいにおい)。嗅覚以外に、比喩的な(抽象的な)かおりという意味でも使われる。

●馨り(かおり)

嗅覚を刺激するもので、特に好ましいもの(よいにおい)。日常的には、あまり使われない。

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